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2017-08

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『プルースト評論選1』②~「サント=ブーヴに反論する」作品理解と作家の「人間」の関係

この「サント=ブーヴに反論する」は
サント=ブーヴという当時とても権威あった(今は?)評論家への反論です
けれども、プルーストの考えがよく現れている文でもあります

芸術作品と芸術家について・・・

プルースト評論選〈1〉文学篇 (ちくま文庫) プルースト評論選〈1〉文学篇 (ちくま文庫)
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プルーストの主著『失われた時を求めて』では
さまざまなテーマがとりあつかわれていますが
前回ブログで書いたところで引用したテーマ
 http://kuzukiria.blog114.fc2.com/blog-entry-11.html
過去の間歇(心の間歇)、記憶時間の問題は
『失われた時を求めて』の主要なテーマの一つです

今回見るのは、また別のテーマ、
「芸術」「芸術家」関連のところです
『失われた時を求めて』ではさまざまな芸術家が登場します
 ・作曲家(ヴァントイユ)
 ・画家(エルスチール)
 ・作家(ベルゴット)
 ・演奏家(モレル)
 ・女優(ラ・ベルマ)

今、思いつくのはこんな感じ・・・

『失われた時を求めて』についてはまた今度ー

ヽ(´ー`)ノ

文学について考えるときよく思い出すのが
この本のプルーストの考え方です

文学(あるいは芸術)とその作者との関係
作品を読むとき、作者(作家)の伝記を詳細に調べて
それを作品に関連づける、という方法はよくあります

ある作品において、全てが作者の生活に由来するか、
全てが由来しないか、そのどちらかだ
──ということは非現実的です

プルーストはフランスの社交界にいたからこそ
『失われた時を求めて』を書くことができたし
日本在住の現代日本人が『失われた時を求めて』を
書くことは無理のはずです
それを考えれば、作者が何者か、知る必要はあります
けれどもそれだけで作品を理解したつもりになるとしたら
それは大きな間違いではないでしょうか

伝記と作品を関連づける方法は作者の生活史を調べたりすればいいわけで
研究や評論として、ある意味楽な方法っぽいです
でもそれは、文学とはあまり関係のない、ただ
文学を題材にしたワイドショーだというのが正確っぽいです

必要条件、必要十分条件という言葉でいうと
生活史は必要条件だけど必要十分条件とはいえない
ということかなー
まあいいや・・・

▼「必要条件と十分条件」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%85%E8%A6%81%E6%9D%A1%E4%BB%B6#.E6.A6.82.E8.A6.81

命題 P と命題 Q に対して、P⇒Q のとき、

P は Q であるための十分条件
Q は P であるための必要条件
であるという。P⇒Q の逆 Q⇒P でもあるとき、Q は P であるための(または P は Q であるための)必要十分条件、または命題 P と Q は同値であるという。

なお数学で、ある集合の2つの元が同値関係にあるとき、それらは互いに「同値である」と言うことがあるが、それとは区別すべきものである。ただし、二つの命題が同値であるという "関係" は同値律を満たすので "命題の全体" における "同値関係" になっている。



ヽ(´ー`)ノ

このプルーストの文章は「反論する」とタイトルにあるように
サント=ブーヴという当時の人気評論家(そして今の存在感は?)への
反論として書かれています
サント=ブーヴという評論家が、人気や権威がありながら
(ボードレールもありがたがったほどの権威が当時あったようです)
文学作品の評論を作者個人の生活や人格にあまりに結びつけるばかりだった
──そのことへの反論です
反論せずに放置してそのような評論ばかりがはびこるようになったら
文学や芸術の行く末は絶望的だ、というおそれが
プルーストがこの文章を書くことの動機の一つではないでしょうか?

というわけで抜粋ー

(サント=ブーヴに反論する)

(サント=ブーヴという評論家への反論。彼というのはサント=ブーヴのこと。)

p36
 彼にはまた、作家と社交界の紳士たちとを隔てる深淵が見えなかったし、作家の自我は書物のなかにだけ姿を現すもので、社交紳士たちに彼が見せている姿は(社交界での他の作家たちに見せている姿は、と言ってもいい。彼らとて社交紳士に変わりはなく、ひとりきりになってはじめて作家に戻るのだから)、彼らと同じ一介の社交紳士にすぎないことも理解できなかった。

 生涯のどんな時期にも、サント=ブーヴは、文学を本当に深いところで理解したとは思えない。彼は文学を、会話と同じ次元で考えていた。


p80
つまり、ここに偉大な天才がいるとして、この天才と肉体を共有しつつ生きている「人間」のほうは、実は天才となんの関係もないといっていいほどで、親友たちが識っているのはこの「人間」のほうなのですね。だからサント=ブーヴのように、ひとりの詩人を、その「人間」や、友人の証言で評価するのなどは、愚劣きわまることなのです。「人間」は要するにただの人で、自分のなかに生きている詩人が何を望んでいるのか、まるで分かっていないこともあるのですから。

p82
 カトリック神学の天は、いくつもの天空が重なりあって出来ていますが、私たちの人格も同じことなのです。外見上は、肉体があり、首から上の部分があって、私たちの思考を小さな球体に封じこめているわけですけれども、私たちの精神的人格は、実はいくつもの人格が重なりあって出来ているのです。おそらくこのことがいっそう目立つのは、詩人の場合でしょう。彼らにはさらにもうひとつ、自分の素質という天空と、日常生活上の知性、善意、繊細さなどの天空をつなぐ中間の天空があるのです。それがつまり、詩人の散文ですね。

p83
晩餐に出かけたり、野心を宿したりする生活者としての「人間」には、もう何も残っていないのに、サント=ブーヴはまさにこの「人間」に、もうひとりの、天才のほうの本質を問いたずねようとするのです。むろん「人間」は、そんなものは何ひとつとどめていません。





追加・・・

ラシェル、って女優もいたような・・・
登場人物多すぎ、内容多すぎなので
『失われた時を求めて』の全部を読みつくすのは無理ー
ヽ(´ー`)ノ

映画の「見出された時」でもそんなことをいっていたっけ
それについて書いたブログはここー(DVD買った)

 http://blogs.yahoo.co.jp/kuzukiriz/4871637.html

そこから・・・

過去の思い出が 私を失望から救い──
文学への信頼が ようやく取り戻せた

つまり一度忘れ去った 思い出は──
過去とのつながりを 完全に断ち切り──
突然 新しい空気を運ぶ
かつて私たちが 吸っていた空気を
この空気は──
詩人が楽園を 満たせなかった空気だ
本当の楽園とは 一度失った楽園なのだ

私がマドレーヌの味を 思い出した瞬間に──
死に対する不安がきえた
その瞬間 私は時間を 超えた存在になった
行動や快楽の呪縛から 解放されて──
まるで奇蹟のように 現在から抜け出した

バルベックの快楽も──
アルベルチーヌと暮らす快楽も
今やっと実感できたのだ

この印象を解明して ある形にしなければ
自分が考え 感じたことを──
暗闇から引き出して──
精神的なものに置き換えるのだ

その方法は──
芸術作品の創造のほかに あるだろうか?

-----------------------------

アルベルチーヌがヴァントゥイユの曲は繰り返しで単調というのに
マルセルが反論する
文学について

-----------------------------
(子どもマルセルとの会話)
私はすでに何回も死んでいる
アルベルチーヌを 愛するのをやめた
ジルベルトのことも 愛さなくなった
そのたびに別の存在になり──
死はもう どうでもよくなった

  じゃ安心?

いや
恐怖心はあるさ
本を書く時間が 足りなくなるのが怖い

(彫刻いっぱいの奇妙な空間出現ー、壁に顔の彫刻ー、もうすぐラストー)

(バルベックの海)

(ナレーション)
彼は他の人間と同じように──
自分の一生を振り返る時間を 与えられた

だが彫刻家は拒否した

「私の人生は途方もない偶発事の連続で──」
「それを振り返っても 悲しくなるだけだ」

「もし時間が 与えられるなら──」
「私の最後の作品の ネメシス女神を見たい」
「〈死の勝利〉の名で 知られる作品だ」

彼は作品を眺めた

ほどなく──
死の天使が現れて 時間は過ぎたと告げた

「何という矛盾だ!」と彫刻家は叫んだ
「与えられた時間は──」
「63年分の生涯を振り返るには 十分なのに──」
「3ヶ月で作った作品を見るには足りないとは」

すると死の天使が言った

「この作品には君と 万人の一生が詰まっている」
「見直すには永遠の時間が必要なのだ」

(おわりー)

▼ヴァントゥイユのソナタのメモー
サン=サーンス
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番:
プルーストはこのソナタを愛好し、ヴァントゥイユのソナタは、
この曲から曲想を得たという──だそうで



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